ネットワーク入門

バッチ処理

1950年代までは、コンピュータネットワークは存在しませんでした。コンピュータで何か作業を行うには、その作業用のコンピュータがある場所まで人間が出向く必要がありました。

1940年代後半から1950年代は、バッチ処理と呼ばれる方法が一般的でした。バッチ処理とは、プログラムやデータをパンチカードや磁気テープに記録し、コンピュータに読み込ませて一括して処理を行うというものです。

TSS

1960年代は、TSS(Time Sharing System)が普及しました。TSSとは、コンピュータで行う処理を時間単位で分割することで、複数の処理をあたかも同時に行っているように見せかける技術です。TSSにより、同時に複数の人がコンピュータを使用することができるようになりました。

また、ダム端末と呼ばれる、キーボードとモニタだけからなる機器を電話回線でコンピュータに接続して、遠く離れた場所からでも処理を行うことができるようになりました。

パケット交換方式の登場

この頃はまだ、回線交換方式による通信が一般的でした。回線交換方式は、通信回路が切断された途端に通信ができなくなるという欠点を抱えていました。

この欠点を解決するために、1969年、DoD(Department of Defense:アメリカ国防総省。DoDはドッドと読む)のARPA(Advanced REsearch Projects Agency:高等研究計画局。ARPAはアーパと読む)は、パケット交換方式による通信を行うためのネットワークARPAnet(アーパネット)を実験的に導入しました。このARPAnetが、後に全世界に普及したインターネットの起源です。

1972年、ARPAnetは、公開実験を開始しました。アメリカ国内にとどまらず、イギリスやノルウェーなどにも接続されるようになりました。

TCP/IPの登場

1970年代になると、コンピュータの小型化・低価格化が進み、複数台のコンピュータをLANで接続するようになりました。しかしながら、メーカーが独自のプロトコルを使用していたため、異なるメーカーのコンピュータ同士では相互に接続できませんでした。

1974年、相互接続ネットワークを実現するプロトコルであるTCP(Transmisson Control Protocol)が公表されました。その後、1978年に、TCPは、TCPとIP(Internet Protocol)に分割されました。これがTCP/IPの始まりです。

1983年、ARPAnetにTCP/IPが導入されました。それまでARPAnetはNCP(Network Control Protocol)と呼ばれるプロトコルを使用していました。TCP/IPの導入により、ARPAnetに接続するコンピュータの台数が一気に増大しました。

TCP/IPは、その後、インターネットにおいても利用され、さらなる開発・改良が行われ、多くのメーカーで採用されるようになりました。そして、コンピュータ通信における事実上の標準プロトコルになっていきました。

インターネットの登場

1983年、ARPAnetから軍事利用の部分が分離されました。軍事利用の部分はMILNET(Military Network。ミルネットと読む)となりました。

1986年、NSF(National Science Foundation:全米科学基金)が学術ネットワークであるNSFnetの運営を開始しました。そして、基幹ネットワークをARPAnetに提供しました。これがインターネットの始まりです。

1990年にARPAnetは運営を終了し、NSFnetに統合されました。

1990年代になると、インターネットの商用利用が進んでいきました。

1991年、WWW(World Widw Web)技術が一般公開されました。WWW技術は、1989年にCERN(Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire:欧州合同素粒子原子核研究機構。セルンと読む)のバーナーズ・リーが考案しました。

1995年、NSFnetが終了しました。それに伴い、ISOC(Internet Society:インターネット協会)のもと、商用プロバイダが接続サービスを提供するという形でインターネットの運営が行われるようになりました。


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