ネットワーク入門

IPアドレスの枯渇

インターネット利用者の増大により、現在、IPアドレスが不足気味です。IPアドレスはホストを識別するためのものなので、複数のホストが一つのIPアドレスを共有することは許されません。

対応策の一つは、IPアドレスをグローバルアドレスとプライベートアドレスとに分け、プライベートアドレスを使い回すという方法です。

つまり、LANの中でデータをやりとりするときはプライベートアドレスを用います。LANの中のコンピュータがインターネットに接続する必要が生じたときだけ、プロキシ、NAT(Network Address Translation)、NAPT(Network Address Port Translation)などの機能を用いて、グローバルアドレスをもつホストを中継することによって、インターネット接続を実現します。

その一方で、クラス単位でのIPアドレスの割り振り方にはかなり無駄があります。例えば、クラスCの場合、一つのIPサブネットあたり254のホストに対してIPアドレスが用意されていますが、10台程度のホストしかないLANでは、200以上のIPアドレスが無駄になってしまいます。

現状では、サブネッティングやスーパーネッティングといった手法により、IPアドレスを節約し、IPアドレス不足をしのいでいます。

しかし、根本的な問題として、通信機能を持つ携帯電話や家電製品も登場してくるようになり、数年のうちにIPアドレスの絶対数が足りなくなるだろうと予測されています。

ここで大雑把に試算してみると、(IPバージョン4における)IPアドレスは32ビットの数字列なので、すべてを割り振ると、およそ43億のIPアドレスを割り振る計算になります。一方、世界の人口は60億を超えていますので、1人あたり1個行き渡りません。さらに、1人が複数の通信機器を所有するとなると、IPアドレスは大幅に不足することになります。実際には、インターネット利用者数は2005年時点で9億人を超えています。

将来的には、従来のIPバージョン4(IPv4)に代わって、IPバージョン6(IPv6)が標準となり、IPアドレスの不足が解消される見通しになっています。IPバージョン6でのIPアドレスは128ビットの数字列(つまり全部で2の128乗個)であり、従来のバージョン4とは比べ物にならないくらい多くのIPアドレスを割り振ることが可能になります。


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